まんが家さんのmyfavorite スペシャルインタビュー 特別な一冊を教えていただきます!第1回安藤ゆき先生[後編]

安藤先生の特別な1冊のご紹介から始まったこのインタビュー。前編では、まんが家になられるきっかけや、現在の作風を支えるバックボーンを話していただきました。前編はコチラ!
続いての後編では、“『町田くん』以降”の安藤先生の“今”についてうかがいます。連載中の『町田くんの世界』執筆の舞台裏や、これまであまり明かされてこなかった素顔に迫りました。お話は、さらにオープンなセキララトークに!?

町田くん誕生の秘密

町田くんを通して表現したいこと

──『町田くんの世界』を描く着想のきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

あるアニメの中で、男のキャラクターが別の男の子に「ありがとう」ってニコッと笑ったら、言われたほうがキュンとしちゃうシーンがあって。こんな感じで他のキャラクターをオトしていくまんががあったら、おもしろいだろうなと思ったんです。

担当編集:イケメンとかスポーツができるとかじゃないのにみんなから愛される人。その人間性で勝負したいと聞いてました。もともとは、5Pくらいを描いて読者投票してもらって、1位が連載になるという企画に参加した作品だったんです。

その作品は、1話にそのまま使ってます。(MC1巻35P~40P) その時は3票差の2位で連載にはならなかったんですが、正直ホッとしました。「こんな次々に人をオトせるなら、私がモテモテやわ! こんなの連載したら死ぬ」と思って。(笑)その後連載の話をいただいた時に、1話に1人オトすならなんとか続けられるかなと思ってこの形で始めました。

──モデル的な人はいますか?

人の心をつかむ人間性の部分だけを描きたい、ほかの部分をだめにしようと思った時に、ビジュアルは『ドラえもん』ののび太くんだなと…。

──それであの髪型とメガネなのですね! 見た目は『だめ』なのでしょうか?

だめというより、ごく普通のイメージで描いています。身長も普通です。

──町田くんのまっすぐさには、心が洗われる気持ちになります。

嬉しいです! 私が思うことを率直に描いているので…だからシンプルにしているというか。

──本当に心に沁みて、読むといつも、何度でも泣けてしまうところもあります。

泣いたとか言われるとほんとに…嬉しいです。どこで泣けますか?

──3巻(10話)で、弟のミツオの友達(育)に町田くんがかけた言葉とか…。

嬉しい! すごく嬉しいです! このへんは良かった!

担当編集:打ち合わせで安藤さんが「育が思ってることを町田くんがうまく引き出せた」って話していたところですね。

この子(育)の気持ちはこうなんだけどな、それをうまく言葉で言えるかなと思っていて…。 いつも「うまくいくかな、うまくいくかな…」と思いながらネームを書き進んでいくんですけど、この時はうまくいきました!
あとは2巻のさくらとのシーン(6話)。ここも、書きながら「言葉にならない感じなんだけど、でも回りくどくなりたくないし、うーん…」と考えていて。で、その場面になった時に「うまくいった~!」という感じでした。

──町田くんの世界は、町田くんには美しく映っているわけですよね。町田くんがいないこの実世界を、安藤先生はどんなふうに見ていますか?

高校生とかが、いろいろ悩んだりとかしてますよね。そういう子たちが、ちょっとこの瞬間にこれを言ってもらったら、少し救われるんじゃないかなって…全部解決するわけじゃないけど、すごく救われた気分になるみたいなものがあったらいいなと思って描いてます。
だからほんとは、最初は町田くんは同級生ばっかりオトしていくことにしようかと思ってたんです。でも、いつの間にかいろんな人が出てくる展開になっていました。

安藤先生がうまく表現できたと語るシーン。人をバカだと思う自分には友達を作る資格がないと言う少年・育。町田くんは育の気持ちをくみ取り、そんな育が好きだと告げる。この後続く言葉に、いつも冷静な育も思わず涙…。(MC3巻P81)

“自然でシンプルな人に惹かれる

──もし町田くんが実際にいたら、安藤先生は恋しますか?

しないです。

──即答ですね。(笑) 好みのタイプの男性はどんな人なのでしょうか。

“不自然じゃない人”。…めんどくさい言い方してますね。(笑)

──“自然な人”とは違うんですよね。

自然体って難しいと思うので、せめて不自然じゃなかったらいいかなと思って…。

──好きな有名人はいますか?

長谷川博己さん。『雲の階段』ってドラマの時のキャラがとても好きなんです。たぶんビジュアルともマッチしているので。その後『八重の桜』にも出ていて。長谷川さんが出ているといつも見ますけど、この二作品のキャラがすごく好きです。薄幸な感じとか。

──薄幸な男性が好きというわけではないですよね?(笑)

リアルで好きになる人は違いますね。無理なく人とスッと仲良くできて、でも自分の好きなこともちゃんとやっているみたいな。これが自然体ということなのかもしれないですね。
ごちゃごちゃ考えすぎる人とかは苦手です。シンプルな人がいいです。…でもビジュアルも大切ですね…。たまにビジュアルが好みの人っていますよね。その人がちょっと自分に好意を持ってるって気づいた瞬間に「あ、もう、好き♥」って、恋になります。(笑)

──最近キュンとしたことはありますか?

仲良しの友達に誕生日プレゼントで口紅をもらったんです。メイクの勉強をしていた子で、「ゆきちゃんに似合うのを選んだ」って。誕生日の前日に遊んでいて、日付が変わってから私がトイレに行って戻ったら、シャンパンとディオールの袋が置いてあって「ハッピーバースデー」とか言われて。ほんとにキュンキュンしました。
それまで、「私、明日誕生日だよ。」「うん。知ってる、知ってる」ってつれない感じだったんですよ。覚えてくれていたことにも驚いてたんですけど、実は1日ずっとその口紅を持ってて、しかも1か月くらいプレゼントをどうするか考えてたらしくて…。自分では絶対に選ばない明るい色なんですけど、塗ったら似合ってたからすごく嬉しくて。

──素敵ですね。お友達は最初からそのつもりだったのでしょうね。

そうですね、その子から誘われました! …でも、その子の誕生日が1週間くらい前だったのに、私、すっかり忘れてたんです。(笑)

お友達からプレゼントされたディオールの口紅。買ったばかりの口紅を間違って捨ててしまった直後だったので、なおさら嬉しかったという裏話も。

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